2015年4月5日日曜日

バロック絵画と桜の終わり

昨年までの数年間、年度末から年度初めにかけて東京近辺にいることが多く、上野、千鳥が渕、目黒川の三ヶ所の桜を見ることができていました。更に、一昨年までは、弘前でも花を見たので、桜に関しては相当の贅沢をしていたわけです(笑) 今年は、三月最終週の北海道出張の間に桜が開花して、年度初めでばたばたしている間に散る態勢に入ってしまい、仕事場近くの元荒川の岸沿い以外の桜を見ることもなく終わってしまいそうだったので、美術館に行くのとあわせて上野に行ってみようかなあ、と思い立ちました。

あいにくの強い雨です。桜の季節の週末なので、かなりの人出はあったのですが、交わされる言葉から察するに、大半は、不運にも悪天候にぶつかってしまった中国や韓国からの観光客の方々のようで、さすがに、この雨の中、花見をしようとするグループは少なかったようです(ゼロではありませんでしたが(笑))。




まずは、国立西洋美術館の グエルチーノ展に行きました(またキャンパスメンバーズ割引です。ひょっとすると、大学で最もこの恩恵にあずかっているのは私かもしれません(笑))。バロック期のイタリアの画家で、ゲーテの「イタリア紀行」にも賛辞が載っているそうです。この本は遥か昔に読んだことがあるはずなのですが、さすがにそのくだりは覚えていませんでした。生まれ育ったチェントという街の美術館に作品の多くが収められていたのですが、その街が 2012 年に大地震に襲われて美術館が再開できない状態なのだそうで、その復興のための巡回展でもあるようです。

バロックとはいっても、カラヴァッジョのような激情的でドラマチックな雰囲気ではなく、瑞々しく柔らかく、ときには、軽やか、といってもよいような明るさと優雅さが印象的でした。作品数は少なめですが、ひとつひとつの絵が大きく、物足りない感じはありませんでした。

それにしても、たぶんそれほど大きくなさそうな街の美術館にこれだけのものが展示されていたのは、素晴らしいことだと思います。東京でまとめてみることができたのは私にとってはよかったのですが、反面、それがこういう理由であるのはちょっと複雑な気分でもあります。地震の喪失から街の精神を取り戻せるよう、再び、これらの絵が、地元の方々の眼に触れる場所に戻ることをお祈りしたいとも思います。

国立西洋美術館は常設展も充実しているので、つい長居してしまいます。今回、新たに、フェルメールの作品かどうか議論されているという、「聖ブラクセディス」が展示に加わっていました。

再び公園に出てみると、小降りになったとはいえ、相変わらずの雨でした。見上げてみると、花は半分ほどで、間から葉がのぞくようになっていまず。







どうやら、今年の桜の季節は、そろそろ終わりを迎えるようです。