まずは、国立西洋美術館の グエルチーノ展に行きました(またキャンパスメンバーズ割引です。ひょっとすると、大学で最もこの恩恵にあずかっているのは私かもしれません(笑))。バロック期のイタリアの画家で、ゲーテの「イタリア紀行」にも賛辞が載っているそうです。この本は遥か昔に読んだことがあるはずなのですが、さすがにそのくだりは覚えていませんでした。生まれ育ったチェントという街の美術館に作品の多くが収められていたのですが、その街が 2012 年に大地震に襲われて美術館が再開できない状態なのだそうで、その復興のための巡回展でもあるようです。
バロックとはいっても、カラヴァッジョのような激情的でドラマチックな雰囲気ではなく、瑞々しく柔らかく、ときには、軽やか、といってもよいような明るさと優雅さが印象的でした。作品数は少なめですが、ひとつひとつの絵が大きく、物足りない感じはありませんでした。
それにしても、たぶんそれほど大きくなさそうな街の美術館にこれだけのものが展示されていたのは、素晴らしいことだと思います。東京でまとめてみることができたのは私にとってはよかったのですが、反面、それがこういう理由であるのはちょっと複雑な気分でもあります。地震の喪失から街の精神を取り戻せるよう、再び、これらの絵が、地元の方々の眼に触れる場所に戻ることをお祈りしたいとも思います。
国立西洋美術館は常設展も充実しているので、つい長居してしまいます。今回、新たに、フェルメールの作品かどうか議論されているという、「聖ブラクセディス」が展示に加わっていました。