東京ジャズフェスティバルの、今日9月6日の "The Jazz Power" と題された昼の部を聴いてきました。本当は7日の "This is Jazz" と題された、ベニー・ゴルソン (ts)、ケニー・バロン(p) 、ロン・カーター(b) らの "Quartet Legend" や、ハービー・ハンコックらが参加する昼の部を聴きたかったのですが、チケット発売日、朝から講義で、帰宅後にネットで調べたらもう売り切れていました(笑) 他のプログラムの中では、小曽根さんは聴きたかったので、このセクションのチケットを買うことにしたのでした。それでもすでにS 席は売り切れで、2階席であるA席しか残っていませんでした。これだけのホールが埋まる、というのは、ジャズもなかなかの人気なのかなあ、と、ちょっと意外でした。
最近、ライブハウスや小さなホールでしかコンサートを聴いていなかったので、2階席の疎外感(笑)の記憶が薄れていたのか、オペラグラスを忘れていました。席に着いたら、ステージは遥か遠くで、実際のプレイヤーは豆粒くらいしか見えず、どうしても、大写しのモニターを見ることになりますし、音もPAを通した音なので、、ほとんどテレビの生中継と変わらないのではないか、と思わなくもなかったのですが(笑)
それでも、5年ぶりの東京ジャズはなかなか楽しかったです。参加グループは以下の通りでした。素人の感想とともに(笑)
JAGA JAZZIST: 初めてその名を聞いたのですが、ノルウェーでは有名なグループだそうです。ノルウェー、ということから想像つくように(?)、フューチャー・ジャズっぽいサウンドで、ドラムが時折変拍子を挟みながら叩き出す複雑で鋭いグループのうえで、多楽器奏者の集団がブラス、ホーン、ギター、ヴァイブ、キーボードなどの音を、余りソロが多くない、基本的には複数の楽器でマッシブに重ねていく、という感じだったように思います。最初、これはちょっと厳しいかなあ、という不安がよぎったのですが(笑)、しばらく聴いていると、何となく馴染んできました。しかし、2階席から眺めていると、どうしても距離が出てしまうので、やはりこういう音楽は同じ平面で演奏されていないと入り込めないなあ、と苦笑しました(笑)
ミシェル・カミロ×上原ひろみ:ご存知の方はご存知なようなお二人なので(笑)、当初、どうせバカテク見せびらかし早弾き合戦なんだろ、と、はじめは、正直言って斜に構えていたのですが、案に相違して、結構エキサイトしてしまいました(笑) 単なるテクニックの羅列、ということではなく、確かな熱さがありました。最初は可愛い女性をエスコートするおじさま風だった(笑)ミシェル・カミロですが、演奏が白熱するにしたがって、段々楽させてもらえないようになってきて、上原ひろみさんががんがん仕掛けるのに、受け太刀気味だったんじゃないか、というくらいのときもありました。今さらですが、ミシェル・カミロをそこまで本気にさせる上原さんはやはり凄いんだなあ、と、改めて感じました。
ランディー・ブレッカー、マイク・スターン、小曽根 真: ブレッカーとスターンはだいたい想像通りの感じでした、といっても、決して悪い意味ではなく、期待していたプレイを期待通りに演奏していて、十分彼ららしさを発揮していたと思います。さすがにリズムがしっかりしていて、ドラムとベースもフロントに負けていない存在感を発揮していました。楽しみにしていた小曽根さんですが、サウンド全体をまとめるのに重要な役割を果たし、また、随所にらしさをみせていたものの、フロントのメンバーとソロを分け合ううえに、ピアノとオルガンの両方を弾いていたので、じっくりと彼だけの演奏を聴き込むのは、また他の機会に、ということになってしまったようです。まあ、この編成ではある程度は予想していたことでもあるのですが。
演奏が終わった後、舞台裏とやりとりをしながら実況しているブース(解説者にこの本の著者である村井康司さんがいました)での放送が聞こえてきたのですが、実は、ブレッカー=スターン=小曽根のステージは、リハーサルなしのぶっつけ本番だったそうです。それであれだけの演奏ができてしまうのは、やはり、さすがだとしかいいようがありません。
今回、チケットを手に入れられなかった明日の昼の部に出演するグループのうち、"Quartet Legend" のほうは、来週、ブルーノートで聴くことにしました。さすがに一晩 35000 円のブルーノートでのハービーのライブを聴きに行く気にはならないので(笑) 5月にキース、6月にチックを聴いたので、今回、このフェスでハービーを聴いて、この半年で3大ピアニストを制覇するか(笑)、と目論んだのはあえなく費えてしまいました。