実施予定の3科目のうちふたつが終わり、採点も済ませました。
答案を見て感じるのは、記号の意味を曖昧にしたまま使っていることです。「 $\lor$ と $\cup$」、「$\land$ と$\cap$」、「$\in$ と $\subset$」、「$\Leftrightarrow$ と $=$」が混同されていることがときどきあります。
もう少し複雑なのでは、「$\det A =1$ だから $A\in {\rm SL}(n, \mathbb{C})$」ということを、 $"\det A=1 $ $\in {\rm SL}(n,\mathbb{C}) "$ と書いてあったり、「$\varphi(a) = e'$ だから $a \in {\rm Ker}\ \varphi$」であることを $"\varphi(a)=e' $ $\in{\rm Ker}\ \varphi "$ と書いてあることがあります。逐語訳的に記号を当てはめていったのでしょうか(笑) 日本語と違って、数式は主語を省略できないのですけどね(笑) 別に記号をうまく使いこなせなければ使う必要もなく、文章で書いて全然構わないのですが、うまく使えないうちのほうが、「記号を使いさえすればもっともらしく見える」と考えがちのようで、よくみると意味の通らない記号のオンパレードになっているものがあります。
これも経験則ですが、この手の間違いは、数学書を読む経験が増えると治る人がかなりいるようです。そういう意味では数学のゼミにはいって専門書を輪読する人はまだ矯正する機会があると思うのですが、授業だけ受けてそれで終わりになってしまう方は十分注意してほしいと思います。
特定の人たちにゲタを履かせるのは不公平なので当初の算出方法で何とかなるように、それでも境界に近いあたりの方々に可能性を残したい、と思うと、どうしても難易度が易しめになってしまうのですが、結局は、継続して勉強している方々が高得点をとるだけで、さすがにこれなら 60 点はとれるだろ、と、期待した方々があえなく撃沈することになり、私が担当する科目では、通った方々の成績が異常によい、ということになりがちです(笑)
加えて、勉強していない振り、というのはこちらの学生さん達のほうが堂に入っているなあ(笑)、と、感じました。
1年生の必修の授業はそれなりに切実なので、まあ、何のかの言っても、そこそこやるだろ、とは思っていたのですが、やっべぇ、全然わかんねーよ、とか、もう、何だか分からないから諦めた、落としたあー、という感じの騒ぎがそこここで聴こえてきて、いやあ、大丈夫だと思うけどなあ、それとも弘前ほど真面目じゃないのかなあ、直前の週末は花火大会だったみたいだし(笑)、もしかしたら後先考えずに浮かれて遊んでたのかなあ、と、おそるおそる試験をしてみると、やはり、そこそこの得点で、何だ、これなら、もっと難しくしてもよかったなあ、と、後になって思った次第です。
本当に自信がなかったのか、謙虚なのか、ガリ勉しているところを見せたくないのか、周りを安心させようとしているのか(笑)、できなかったときのためのカモフラージュなのか(笑)はわかりませんが、そうやって不安がっているように見える周囲の挙動に安心し、結果がわかったら落としていたのが自分ひとりで、裏切り者、と、叫びたくなる方もいるかもしれません。ただ、それは、みんながやっていない、ということに安心しようとしたのがまずかったので、周りと一緒に尻込みするのではなく、自分がやるべきこと、やると決めたことはたとえ一人だけでもなりふり構わず取り組むことが大事なのだ、ということを肝に銘じていただきたいと思います。
1年生の皆さんは、私の担当科目が、残り1教科あることでもありますし(笑)