中学生のときにサッカー部員で、しかも物凄く下手だった(笑)というトラウマがあるせいか、日本代表クラスの選手の方々のプレイを見るとそれだけで尊敬してしまうので、グループリーグを突破できないで情けない、とか、そんな気持ちには全くなりません(笑)
日本代表があれだけのメンバーを擁して決勝トーナメントに進出できなかったのは残念だし意外でもありましたが、ビッグクラブに移籍してまだ立場を確立できないでコンスタントに出場できない、とか、故障から復帰間もない、とか、各選手にいろいろな事情があって、伸び盛りの勢いみたいなものが失われてしまったのでしょう。そういうことは、たぶん、非常に微妙なタイミングで、心身を鍛錬しきった上の、運としかいえないくらいのコントロールできない部分で、それがあるからトップクラスのサッカーなのだと思います。
スペインやイングランドやイタリアですら突破できなかったくらいに実力が伯仲していて何の拍子にどう転ぶかわからないグループリーグで、日本だけが当たり前に勝てると思っているほうがどうかしていて、みすみす勝てる機会を逃してだらしない、というほうがサッカーを知らないんじゃないの、という気すらしてしまうのですが。
もちろん、これからを見据えてどうしよう、という議論は必要だと思いますが、チーム作りのための冷静な検討ならともかく、戦犯探し、とでも言えそうな議論が始まってしまうと、そんなものではないだろうに、と、思ってしまいます。
30 年前は日本がワールドカップに出るなんて思いもしなかったし、Jリーグが始まってワールドカップ出場を目指す、と、いったときにも半信半疑だったのを、ここ何回かはすっかり常連のひとつになったことだけでも凄いと思うし、日本人選手がインテルとACミランとマンUに在籍するようになるなんて、何年か前には思いもよらなかったことで、それを成し遂げたプレイヤーや関係者の方々に対する敬意を欠いては、たぶん、本質を見失うのではないかと思うのです。
今回、久しぶりにテレビをみて失望しているのは、いくつかの、応援、と称する何時間かの特別番組で、あまり試合に関係なさそうなウケ狙いの VTR が流れ、自称サッカー通、サッカーファンの、アイドル、タレントやお笑いの人たちが悪ふざけを繰り返す様子が延々と続いていることです。面白おかしくして興味を惹けばよいのか、それはサッカーを楽しんでいることなのか、と、疑問を感じる光景でした。
以前、岡田武史元代表監督が、対談の席で、
「日本の場合、スポーツが芸能スポーツになっているのですよ。スポーツをよりおもしろくなど、メディアは意図的な方向性があります。稲本選手がトルコのチームにいますけど(注:当時)、イギリスのチームにいって試合に出られなかったので、帰ってくるのかという話をしたら、試合に出られなくても二部のチームでもこちらにいたいと言っていたのです。それは、日本では街で稲本だと言われたら、キャーッとファンが寄ってきて写メールとかサインしてくださいとかなるからだと。ヨーロッパでは町を歩いていても、みんな、『ヘイ、稲本』と声はかけてくれたとしても、リスペクトの目で見てくれる、この感覚がすばらしいのだと。と言っていたのを思い出しました。
日本でスポーツ、選手などの地位を上げていくには、スポーツ界にも問題は確かにありますが、やはりメディアがスポーツに対して、もう少しステータスをつけていくような扱いをしないとだめでしょうね。だから、わたしはバラエティ番組に出ないのですよ。それでサッカーの知名度はより上がるかもしれないけれど、質の違うものにしてしまう可能性があります。ここは難しいところですね。」