無駄遣いし過ぎ、などと言っておきながら舌の根も乾かぬうちに新春一発目のライブ鑑賞です(笑)こんな豪華なラインアップのライブがあることに数日前に気づき、慌てて予約しました。何年か前、マーティン・テイラーとウルフ・ワケニウスのデュオのときに行こうか迷って、行かなかったことを後悔したのですが(笑)、それに香津美さんが加わるとなると、これは聴きに行くしかない、という気分になってしまったのでした。
開場少し前に着いたので、比較的早い順番で客席に入ることができ、案内してくれたお店の人に、ステージの近くがいいですよね? どのプレイヤー目当てですか? と聞かれ、実は、全員目当てだったのですが、昨日、何となく、予習としてこのアルバムを聴いたので、ウルフ・ワケニウスです、と答えると、じゃあ、ステージに向かって右側です。一番端の最前列はいかがでしょう? と言われ、その席に座ることにしました。あれ? ワケニウスのファンが少ないのかなあ、と、一瞬思ったのですが、さにあらず(笑)、よく考えてみると、座ってギターを弾く場合、だいたい、右足付近にのせることになるので、トリオで演奏して真ん中付近を見ることになると、向かって右端からでは、ほとんど背を向けられている角度にしかならないのでした。ほぼ2mくらいのところにウルフさんはいたのですが、どのように弾いているかは見えませんでした(笑) 今後、ギターのライブを聴くときは気を付けようと思います(笑)
でも、そんなことはどうでもよく、開演して3人の調子が合いだすと、物凄い、という言葉が空々しくなってしまうくらい、濃密な演奏の連続でした。まずは、3人揃っての演奏が2曲ほど、その後、2人ずつ、全ての組み合わせのデュオで3曲、各々のソロで3曲、そして、最後に3人で演奏、という構成で、スペシャルなセッションなので、レパートリーの大半はスタンダードですし、編曲も凝っているわけではなく、基本的には、誰かがソロをとって誰かがバッキングしてリズムを刻む、ということを交代で行っているだけなのですが、そのやり取りの至るところに尽きせぬ味わいがあります。予定調和に陥る前に、誰かが(主に香津美さんが?(笑))仕掛け、すると、そっちがそう来るならば、こちらはこうしよう、と言わんばかりの、スリリングで親密な音楽的会話が展開し、そのままどこまでも行ってしまうのではないか、という感じでした。今まで聴いたライブの中でも、トップクラスの満足度で、あっという間に時間が終わってしまいました。
このところ、ハード・バップ期からのレジェンドはお亡くなりになるか、お年を召すかされてしまい、若い人たちは、ネクスト・チャプターと称して、ヒップ・ホップや R&B との交合から新しい展開を生み出そうとしている感があり、そちらも新鮮だし楽しく聴いてはいるのですが、オジサンの私にとってついていくのに少々しんどいときもあり(笑)、こうして、改めて、シンプルでオーソドックスなフォーマットで、構えることなく、ギター一本で勝負して、広大な可能性を示している方々の演奏を聴くと、まるで、ミステリやサスペンス、ラノベ由来の小説が溢れる中で滋味深い文学作品に出会ったような(?)安心感を覚えました(笑)
正月早々、本当によいものを聴くことができました。ギターが好きでよかったと思える一夜でした。