2015年7月8日水曜日

自分自身であること

菊地雅章さんがお亡くなりになったという記事が目に入りました。ここのところ、ご病気だったという情報も以前に見たような気がするのですが、ご回復することがかなわなかったのは残念です。

以前、世界一のジャズ・ピアニストは、キースでも、ハービーでも、チックでもなく、菊地さんだ、と、書いたくらい、凄い方だと思っていました。 一説によると、ご本人はその出来に不満なのではと報じられたりもしたのですが、数年前に、ECMからアルバムが出たことで(そういえば、ECM のサイトにも追悼記事が出ていました)、ついに日本以外の幅広いジャズ・ファンにもその素晴らしい音楽が広まるか、と、いう期待もちょっとはあったのですが・・・。

個人的に、一番印象に残っているのは、LOVE SONG というアルバムで、最初に、1曲目の "In Love in Vain" を聴いたとき、凍り付いたように固まってしまいました、粋な小唄、という感じでリズミカルに演奏がされることの多い(例えば、キース・ジャレットの演奏はこちらです)スタンダードの一音一音に、凄まじい集中力で高密度で硬質な哀感が込められ、手馴れたところの全くない別の曲になってしまったことに言葉を失い、恥ずかしながら、いつの間にか涙があふれ出ていました。

ジャズの本場のNYでも、不器用で、愚直なまでに自分自身であり続け、他の誰にもできない本物の音楽を作り続けたことに深い深い敬意を表して、心からご冥福をお祈りしたいと思います。

一度は生で聴いてみたかったです。