常勤の大学教員になって10 年目ですが、前の大学では、主に数学教育の先生方がその種の仕事をする傾向があったのと、私が他の委員をずっと務めていたこともあったので、不思議なことに、クラス担任をするのは今年度が初めてということになります。その初仕事が、今日の新入生を対象としたガイダンスでした。
説明事項についての書類が廻ってきていたので、たぶん、そのうちの「専修オリエンテーション」って書いてあるところまで話せばよいのだろう、それならば学部と専修の概略の話くらいで、かなり時間に余りそうだし、あとは自己紹介でもやってもらえばよいのかなあ、などと、余裕をかましていたのですが、一昨日、学務委員の先生に、ここまで説明すればいいのでしょうか? と、伺ったら、実際は、その書類のもっと先の授業や成績や単位のかなり具体的なことも説明する必要があるとのことで、さらに、オリエンテーション中に専修で使う名簿を作成することになっていて、そのための書式も作成することになっていると判明しました。オリエンテーションの最初に専修の先生方全員から一言ずつお話していただいて、その後、それらのことを済ますと、時間はかなり足りないですよ、と忠告をいただきました。
名簿の書式を作成した後、教えていただいた範囲まで拡張して説明用の書類を見ながら話を組み立てようとすると、どうもすっきりしません。「必修」っていう言葉を定義する前に使っているぞ、とか、これならば一度説明したことをまたさかのぼって繰り返しているだけじゃないか、とか、これは演繹的な流れになっていない、とか、数学をやっているものの悪癖で(笑)、論理的な構造がすぐ気になってしまいます。確かに指示のあった事項を説明するのは結構大変そうで、整理しないでその場でうろうろしながら話すと時間が足りなくなりそうです。やはり話すことをまとめたメモを作っておいたほうがよいかなあ、と、作成しはじめると、それならばレジュメにしてコピーしたものを配ったほうがよいか、と、いつもの悪循環で(笑)仕事を増やしてしまい、昨日までを費やしてしまいました。
かくして、今日を迎え、オリエンテーションの準備でうろうろしているときに、専修の主任の先生に会ったので、学務の先生から教えていただいてこれくらいのことを行うつもりなのですけど、他に付け加えることってありますか? 学生さん達に自己紹介などしてもらったほうがいいんでしょうか? と伺うと、それくらいのことをすれば大丈夫でしょう、たぶん、時間は余るから、そうしたら自己紹介でもしてもらえばいいんじゃないですかね、というお答えで、あれ? じゃあ、そんなに時間が足りないわけでもないのかなあ、と、少し、期待をつなぎました。
今年度の数学専修の1年生は、やや少なめの 44 名で、しかも、7割とまではいかなくても(笑)、女子が3分の1より多いのではないかという感じで、昨年接した学年と、少し雰囲気が違うようにも思います。まだ、初々しくて、最初のうちは緊張もしているようで、こちらが、つい、いつものように冗談を織り交ぜてしまうと、ここは笑うところなのか? というような戸惑いが教室を支配してしまいます(笑)
いや、単に冗談がつまらなくて笑えなかっただけかもしれませんが(笑)
大学の理念からディプロマ・ポリシーから授業や学期や時間割の仕組みや教室の呼び方や単位の定義やその数え方や成績や試験や・・・について説明した後、それで1年生はこういう科目のなかからこれくらいを履修することになります、みたいなことを延々と話をすることになり、途中、細かいことが気になっておそらく聞いている新入生の方々には実感がわかないであろうことに詳細な解説を加えてしまいます。その後、名簿作成のためにポートレートを撮影したりもしたので、その時点でかなりの時間を使ってしまいました。結局、学生さん達の自己紹介の時間もとれず、私からのメッセージやアドバイス的な話も用意していたのですが、そちらもお話しすることができませんでした。
最後に、数学科の研究室や連絡事務室があるところを案内すると、ちょうど、指定された時間くらいで、新入生の方々は、それからお昼を済ませて違うオリエンテーションに出席することになっているので、そこで流れ解散にしました。
その後、連絡事務室の職員さんとお話をしていたら、学生さん達を連れて、桜の川辺にお花見に行っていた先生もいらっしゃいましたよ、と、おっしゃっていて、しまった、その手があったか、と思いました(笑) たぶん、これから、いくつもオリエンテーションがあって、私が一夜漬けで仕込んだような話は、ずっとよくわかっている先生や職員の方々が詳しくするのだろうし、もっと、普段通りにゆるくやっておけばよかったのかなあ、と、ちょっと後悔しました。
まあ、まだ、最初の1日が終わっただけなので、これから、ゆるくお付き合いする時間はたっぷりあるから、と、思うことにします(笑)
覚束ない船出となりましたが(笑)、私が初めて担任となって学生さんとお付き合いする4年間が、どのようになってゆくのか、楽しみにしたいと思います。