最初に松岡直也さんの音楽に出くわした時のことはよく覚えています。15 歳のころでした。千葉に3階建ての新星堂のビルがあって、1階が歌謡曲、2階がジャズやロック、クラシック、3階が楽器売場だったのですが、炎天下、暑さに喘ぎながらその2階に入ったとき、クーラーの効いた涼しい店内に、このジャケットのパネルがでかでかと飾ってあって、午後の水平線がかかっていて、その涼しげなサウンドに衝撃を受けました。
その頃、ラテンのリズムは全然知らなかったのですが、当時盛んだったカシオペアやスクェアのようなフュージョンとは違う何かを感じました。改めて眺めてみると、是方博邦 (g)、ウィリー長崎 (timbales)、高橋ゲタ夫(b) といった選りすぐりのメンバーが参加していたのですね。
一時期、すっかり夢中になっていたのですが、しばらくしてジャズを聴くようになり、高校ではクラシックギター部に入ってナイロン弦のギターを弾くようになると、同じ南米でもブラジル音楽をよく聴くようになって、何となく少し距離が出てきた頃、大学で入った、やはりギターのサークルが、クラシックとラテンをやるところだったのですが、なぜか、そのラテンがバリバリのキューバ系(?)で、パーカッションが、ドラムの他に、コンガ、ボンゴ、ティンバレスなどフル装備で、ナイロン弦のギターのアンサンブルと不似合いなくらいの、でかい音を轟かせていて、よく、松岡直也さんの音楽もかかっている、ということで、私が2年生(だったかな?)の定期演奏会でこの曲を演奏したりすることもあり、という、意外な形での再会をすることになりました。
とはいうものの、ハートカクテルのわたせせいぞうさんのイラストがジャケットになったアルバムを買うのが気恥ずかしく(笑)、ご無沙汰してしまうこととなり、そのまま熱心なリスナーではなくなってしまったのですが、時折、どこかで耳にすると、やはりいいなあ、と思うこともありました。
個人的には、この "The prime of life" という曲が好きでした。当時、トンカチ・ピアノと称された(笑)、彼独特のモントゥーノ・ピアノ、懐かしいです。それにしても、この映像のメンバーも凄いですね。
ジャンルは違うのですが、この前の大滝詠一さんに引き続き、今度は松岡直也さんの訃報を目にし、10 代の頃に夢中になって聴いていたミュージシャンの方々がいなくなってしまうなあ、と、寂しく感じています。
ご冥福をお祈りします。