今学期は、1年生の初等整数論と論理や集合に関する講義の2科目、2年生の週2コマの代数学の科目、3年生の発展的な代数の講義である特論の合わせて5コマと、4年生の卒業研究を担当することになります。
3年の講義では、体の初歩的な話から入って、作図問題や、代数方程式の可解性を扱うよう、シラバスには書いておきました。もし、可解群などまで手がまわらなそうなら、作図問題で終わりにすることもできるので、今回のように様子がわからない場合には無難な見通しでいたのでした。
講義をしながら聞いてみると、群の定義は知っていたものの、準同型定理を習っていないことが判明しました。昨年度のシラバスに準同型定理の文字があったので安心していましたが、目論見がはずれてしまいました。それで、可解性の話はしないことにしたのですが、冷静に考えると、環準同型の話も使えないことになるので、それで何とかなるか、もしくは、どこかで群を詳述したほうがよいか、いろいろと考えなければならなそうです。
2年の講義は群・環・体・線型空間などの代数系の入門にすることにしました。古典的な話から入って、多項式や代数方程式の解法から対称多項式をやって、置換群の話で群論を行う、というスタイルにするか、シラバスを提出する直前まで迷ったのですが、そうするためには、根本からプランを練る必要があり、まだ様子がわからない学生さん相手だと危険かなあ、という気がありましたし、群論から入ることにすれば、昨年度も講義をしていたので、ある程度準備ができているので、いろいろな意味で無難だというつもりでいたのでした。
最初に二項演算の説明をして、例として、普通に、整数の加法、とか、ゼロでない有理数の乗法などを挙げた後、整数の剰余類に和や積を入れて・・・、という話をし始めたら、1年生で剰余類をやっていません、と言われてしまいました。昨年度のシラバスに剰余環や剰余体の文字があったので安心していたのですが、こちらも思わぬところで目論見がはずれてしまいました。それでも、後で、オイラーの定理を剰余群で証明する話はするべきでしょうから、これをはずすわけにもいきませんし・・・。
講義をしているとき、重要な主張の間際になって、いろいろな準備をごちゃごちゃと説明する、というのは焦点がぼけてしまうので、やらないように心がけていたのですが、しょっぱなから、連発する破目になって、すっかり、疲労困憊してしまいました。
今まで、受講している方々の予備知識はほぼ完璧に把握して講義ができていたのですが、そういう状態になるにはしばらくかかりそうで、それまでのあいだは手探りが続きそうです。
今日、繰り返し聴いていたのが、これでした。そういえば、弘前に赴任した頃もレスター・ヤングを聴いていたなあ、と、思い出しました。