連休の過ごし方を考えていなかった、と、書いたのですが、結局は、秋のシーズンの展覧会を見に美術館に行く、という、いつもどおりの過ごし方をして終わってしまいました。
以前は、印象が混乱するので1日に複数は見なかったのですが、地方に住んで上京する機会が限られてくるとそんなことを行っていられなくなり(笑)、すっかり、その習慣が身についてしまったので、昨日、今日と、2つずつの展覧会に行っていました。
昨日は、まずパナソニック汐留美術館でのキリコ展に行きました。キリコは、生前、自分の形而上絵画を本当に理解した人は今まで2人くらいしかいない、と、いったそうで、何だか、代数幾何の森理論みたいだなあ、と思いました(笑) ミュージアム・ショップに松下幸之助の本が並んでいたのが印象的でした(笑)
・・・と、本来の絵の感想がないのは、あまりにも不思議すぎて、その感興をうまく言葉にできないからで、やはり、形而上絵画は理解できなかったようです。まあ、本業でも世界で何人かしかわからない、という類のことを理解できたためしがないので、道楽の分野でわからないのはしょうがないのですが(笑)
そのまま渋谷に出て、Bunkamura ザ・ミュージアムの「夢みるフランス絵画」を見ました。セザンヌ、モネなどの印象派から20 世紀前半、モディリアーニ、ローランサン、フジタあたりまでの作品が展示されていました。日本のある収集家のコレクションだ、ということで、個人の収集では、よく、名前先行で有名画家の凡作を大枚はたいて購入してしまったのではないかというのがあるので、あまり期待していなかったのですが、よい意味で意外にも、かなり充実していました。個人蔵の絵なので、知れ渡って有名になっているものではないのでしょうが質が高いものばかりで、特に、ヴラマンクやルオーが充実しており、きっと、この時期にはすでにリアルタイムで収集をしていたと思われます。かなり歴史のあるコレクションなのが伺えました。こうやって順を追って眺めてみると、フォーヴというのは衝撃だったのだろうなあ、と、改めて感じました。
渋谷というのは危険な街で(笑)、隣の建物のジュンク堂に行って本を大量に買ってしまい、その足でタワーレコードに行ってCDを一抱え買い込んでしまいました。 冷静に考えると、今月初めに神田で古本まつりがあって何冊か本を買い、その後、立教大学の談話会に行く前にジュンク堂の池袋店でも本を買ったのでした。ただでさえ山ほど読んでいない本があるのに、今月買っただけでも読むのに半年か1年かかりそうな量です。酒も飲まないし、タバコも吸わないし、ギャンブルもしないし、と自分に言い訳しているのですが(笑)、どう見ても普通の方々がそれらに使うよりは散財しているようです。気をつけなければなりません(笑)
と、思いながら帰途に着いた翌日である今日は、上野に出かけ、まずは東京都美術館の「ウフィツイ美術館展」を見ました。何と言っても、ボッティチェリが圧巻でした。彼を主人公にした、辻邦生さんの「春の戴冠」を愛読していたこともあり、また、塩野七生さんのルネサンスものを読んだこともあったので、この辺の時代背景は少しは見当がつき、よけいに興味深く眺めることができました。あれだけルネサンスの真骨頂というべき作品を残しながら、後にはサヴォナローラに影響された宗教画を描く、というのは、単に軽佻浮薄、とか、時流にあわせた、ということではなく、彼がフィレンツェの時代精神を表現し続けた画家だったということなのでしょう。
ウフィツィ展を見終わったあと、ホドラー展を見るため国立西洋美術館に移動しました。今年はスイスとの国交樹立 150 年で、その関係の企画のひとつだそうです。おそらく、もうひとつの企画である新美術館でのチューリッヒ展でも何枚か作品があって興味を覚えていました。人物が独特のしぐさをすることで空間の拡がりを表したり、規則性の中に揺らぎを加えて独特のリズムを作ったり、といった造型の工夫が、色彩の清澄さとともに印象的でした。
それにしても、この頃、特別展のチケットの値段が微妙に上がる傾向のようで、今日の2つの展覧会も、当日券は、一般 1600 円、大学生 1200 円でした。消費税の影響なのかもしれませんが、特に、大学生には、足を運びにくい金額になってしまっているのではないかと心配ではあります。
まあ、私は、ホドラー展に関しては、またもや、キャンパスメンバーズ割引で団体料金となり、少しは安く入場できてはいるのですが(笑)
見終わったのが 15:00 過ぎで、まだちょっと時間があるなあ、と、湯島を抜けてまたもや神保町に行ってしまいました。昨日の反省は何にも活かされていません(笑)